税金計算の詳しいシミュレーション
ここまでは、文字だけでは少し分かりづらいと思いますので、実際に税金の計算方法についてシミュレーションを行っていきます。
サラリーマンと専業主婦や学生の場合を想定して具体的な数字を落とし込んで計算してみますので、確認してみてください。
但し、計算例につきましてはあくまで例であり、実際に確定申告する際には税理士などに相談してみることをおすすめします。
税金計算パターン①年収500万円のサラリーマンの場合
ここでは、年収500万円のサラリーマンがオンラインカジノをプレイしたことを想定して、具体的な損益を当てはめてシミュレーションしていきます。
年収とオンラインカジノで得た収益の合計値によって、確定申告する金額も大きく変わってきますので、間違えが無いように細かく確認していきましょう。
Aさんの場合
- 給与所得:500万円
- オンラインカジノの年間収入:250万円
下記は、Aさんの年間1年間のオンラインカジノの収支と仮定して説明していきます。
日付 | 収入金額(勝利金) | 支出金額(ベット額) |
---|---|---|
2月20日 | 40万円 | 20万円 |
3月10日 | ‐50万円 | 50万円 |
6月30日 | 70万円 | 10万円 |
8月10日 | 60万円 | 20万円 |
10月5日 | 80万円 | 10万円 |
合計 | 250万円 | 60万円 |
まず最初に、所得税の対象となる収入金額と収支金額を計算していきます。
収入金額( 3月10日はマイナス収支になりますので、合計値には含ますことができません。)
- 40万(2月20日)+70万(6月30日)+60万(8月10日)+80万(10月5日)=250万
支出金額(収入金額同様、3月10日は合計値には含みません。)
- 20万(2月20日)+10万(6月30日)+20万(8月10日)+10万(10月5日)=60万
収入金額・支出金額ともに、負けた分については計算に含みませんので注意してください。負けている金額を含んで計算してしまう人もいますが、一時所得では含むことができません。
一時所得の計算方法
次に、一時所得を計算していきます。上の表で算出された収入金額と支出金額を用いて計算してみましょう。
- 250万(収入金額)—60万(支出金額)—50万(特別控除)=140万円(一時所得)
Aさんの一時所得は140万円ということがわかりましたね。
ここでのポイントは、一時所得では特別控除が認められているので、全体から50万円も差し引かれています。
所得税の計算方法
所得税を計算するためには、算出した一時所得を用いて、課税対象となる金額を計算していきます。
250万円の収入金額に対して一時所得が140万円と計算されましたので、課税対象額は下記となります。
- 140万円(一時所得)×1/2=70万円(課税対象)
課税対象は一時所得×1/2となりますので、覚えておきましょう!
ここで算出した、70万円(課税対象額)と給与所得の合計値で所得額を計算していきます。
Aさんはサラリーマンとしての給与が500万円ありますので、ここでの計算式は以下となります。
- 500万円(給与等の所得)+70万円(一時所得の課税対象額)=570万円(所得額)
これで、所得額が計算できましたので、税率表と照らし合わせて控除額や税率を確認してみましょう。
※この表は国税庁から公表されている内容と同じになります。【参考:国税庁|No.2260 所得税の税率】
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円から329.9万円まで | 10% | 97,500円 |
330万円から694.9万円まで | 20% | 427,500円 |
695万円から899.9万円まで | 23% | 636,000円 |
900万円から1799.9万円まで | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円から3999.9万円まで | 40% | 2,796,000円 |
4000万円から | 45% | 4,796,000円 |
Aさんは所得額が550万円となり、課税所得金額の330万円から694.9万円に該当しますので、計算は以下の内容になります。
【5,700,000万円(所得額)—427,500円(控除額)】×20%(税率)=1,054,500円(所得税)
所得税の計算方法は以上となります。
結果、Aさんの確定申告する所得税は1,054,500円ということになります。
※この金額は所得税の総額となります。実際に支払う税額は、会社が源泉徴収して収めた所得税と差し引きします。
また、個々の状況によって計算方法が変わることもありますので、あくまで参考値として確認してみてください。
税金計算パターン②専業主婦や学生(他の収入がない)の場合
次に、収入が無いパターンとして専業主婦や学生の計算方法について解説していきます。サラリーマンとは基礎控除が異なりますので確認していきましょう。
専業主婦や学生の場合、基礎控除が『48万円』あり、一時所得の特別控除額が『50万円』認められますので、オンラインカジノのみの収入が98万円を超えた場合のみ確定申告が必要となります。
逆に言うと、98万円以下の勝ちであれば確定申告は不要となります。但し、アルバイトやパートで20万円以上所得があると確定申告が必要になりますので注意が必要です。
一時所得の計算方法
では実際に、収入が0円でオンラインカジノの収入だけで98万円を超えた場合の計算方法について具体例と合わせて解説していきいます。
Bさんの場合
- 給与所得:0円
- オンラインカジノの年間収入:200万円
下記は、Bさんの年間1年間のオンラインカジノの収支と仮定します。
日付 | 収入金額(勝利金) | 支出金額(ベット額) |
---|---|---|
1月10日 | 30万円 | 10万円 |
3月20日 | ‐50万円 | 50万円 |
5月5日 | 50万円 | 10万円 |
7月20日 | 70万円 | 20万円 |
11月10日 | 50万円 | 10万円 |
合計 | 200万円 | 50万円 |
では実際に、計算していきましょう!
収入金額( 3月20日はマイナス収支になりますので、合計値には含ますことができません。)
- 30万(1月10日)+50万(5月5日)+70万(7月20日)+50万(11月10日)=200万
支出金額(収入金額同様、3月20日は合計値には含みません。)
- 10万(1月10日)+10万(5月5日)+20万(7月20日)+10万(11月10日)=50万
一時所得
- 200万(収入金額)—50万(支出金額)—50万(特別控除)=100万円
今回のケースは、Bさんの一時所得は100万円となることが分かりましたね。
注意事項としては、負けた日付は計算に含まないということです。あくまで勝った時だけの金額が対象となるので、注意してください。
また、1年間のトータルで『勝った』・『負けた』と計算する人がいますが、それも間違いです。
そのため、オンラインカジノでプレイしたら細かく収支を付けていくことをおすすめします。1年間の収支をまとめて確認しようとすると、かなりの時間を要してしまい、漏れや間違える可能性が非常に高くなってしまいます。
そのため、プレイごとに管理するようにしておくことをおすすめします。
所得税の計算方法
一時所得について理解できましたでしょうか?
一時所得が計算できないと、実際に確定申告を行う所得税も計算できませんので、しっかりと理解しておきましょう。
次に、一所得税を計算するために、課税対象となる金額を計算していきます。
- 100万円(一時所得)×1/2=50万(課税対象)
課税対象は一時所得の1/2となりますので覚えておきましょう!
課税対象額を計算できましたら、次に所得額を計算します。
- 0万円(給与等の所得)+50万円(一時所得の課税対象額)=50万円(所得額)
Bさんの場合、アルバイトやパートもしていないので、給与所得は『0円』となります。そのため、一時所得の課税対象額のみが対象となります。
50万円の所得額をもとに、税率表を確認してみましょう!
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円から329.9万円まで | 10% | 97,500円 |
330万円から694.9万円まで | 20% | 427,500円 |
695万円から899.9万円まで | 23% | 636,000円 |
900万円から1799.9万円まで | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円から3999.9万円まで | 40% | 2,796,000円 |
4000万円から | 45% | 4,796,000円 |
Bさんは所得税が50万円となり、195万円以下に該当しますので、計算は以下の内容になります。
- 【50万円(所得額)—0円(控除率)】×5%(税率)=2.5万円(所得税)
所得税の計算方法は以上となります。
結果、Bさんの確定申告する所得税は2.5万円ということになりますね。オンラインカジノ以外の収入がないので、税率も低く設定されています。
専業主婦や学生であっても、オンラインカジノで得た収益が合計で98万円以上になった場合は、必ず確定申告を行いましょう。
※家庭事情や個人の状況によって計算方法が異なる場合があります。そのため、一例として確認してみてください。少しでも不安がある人は、税理士などに相談してみることをおすすめします。
オンラインカジノで税金が発生したら確定申告はするべき?
「税金については分かったけど、確定申告って本当に必要?」
「確定申告しなくてもバレないんじゃ?」
オンラインカジノの税金について理解が得られたとしても、中にはこのように考えてしまう方もいるでしょう。
そこで、税金を払うべきかの回答や確定申告しなかった場合のデメリットについて以下にて解説していきます。
税金は必ず払うべき
結論を申し上げると、必ず確定申告して税金を支払うようにしましょう。
日本の国税局は、国民の収入を細かく把握しています。
パチンコなどで得た収益を申告しない人も中にはいますが、オンラインカジノの勝利金はインターネットを通しているため確実に捕捉されます。
会社員として生活していると、自動的に源泉徴収されるためあまり税金を意識しないかもしれません。
しかし、自力で得た利益の場合は、申告しないと後々大きなトラブルになることもあるのです。
オンラインカジノで得た利益は、必ず申告するようにしましょう。
税金を払わないと追徴金が発生する場合もある
「税金を払わないとどうなるの?」
オンラインカジノで発生した税金を支払わないと、最終的に追徴課税が発生します。
追徴課税とは、適切に税金を支払わなかった人に課せられるペナルティのようなものです。
税金を支払わなかった場合の、具体的な追徴課税は以下の2つです。
- 無申告加算税
納付金額の15%~20%(納付額が50万円以下は15%) - 重加算税(※悪質と判断された場合)
納付金額の40%
仮に55万円の税金を支払わなかった場合、最大で30万円もの追徴課税を受けることになるのです。
突発的に85万円もの税金を支払うとなると、相当焦ることになるはずです。
再三になりますが、税金は必ず支払うようにしましょう。
ギャンブルで追徴課税を受けた実例
実際に適切な会計処理をしなかったことが原因で、追徴課税を受けそうになった実例があります。
問題の原因になったケースでは競馬で万馬券を当て、外れ馬券を経費として計上していました。
仮にギャンブルに事業性が認められていれば、雑所得として経費が認められます。しかし、国税局はこれを一時所得とみなして追徴課税を行いました。
最終的には、裁判の結果雑所得として扱われることになりましたが、仮に一時所得として認められれば多額の追徴課税を受けることになっていたでしょう。
このようにギャンブルはどのように取り扱うかによって税金の取り扱いも変わってくるので、十分注意してください。