ブラックジャックをプレイしているとインシュランスにベットするか確認されることがあります。
インシュランスはディーラーのブラックジャックが成立し、プレイヤーの選択が回ってくる前にプレイヤーの負けてゲームが終了する場合に対する保険です。
この記事ではインシュランスの期待値や使うべきかどうかなどの戦略について説明します。
- ブラックジャックのインシュランスとは何か?
- インシュランスで得する場合・損する場合
- インシュランスの期待値
- インシュランスにおける戦略
ブラックジャックのインシュランスとは?
ブラックジャックのインシュランスは、ディーラーが最初のオープンカードでエースを引いた場合にベットできるオプションです。
ディーラーがブラックジャックになると、通常はプレイヤーの負けになります。そのため、プレイヤーはディーラーがブラックジャックだった場合に保険(インシュランス)をかけることができるルールになっているのです。
インシュランスの基本的な流れは以下のとおりです
- ディーラーが最初のオープンカードでエースを引いた場合、インシュランスにベットするか確認されます。
- インシュランスにベットする場合、元の賭け金とは別に賭け金(通常は賭け金の半額)を出します。
- もしディーラーが2枚目のカードで10点のカード(10、ジャック、クイーン、キング)を引いてブラックジャックになった場合、プレイヤーは元の賭け金を失いますが、インシュランスにベットした金額の2倍(通常は元の賭け金と同額)を受け取り損得なしになります。
- ディーラーがブラックジャックにならなかった場合、プレイヤーはインシュランスの賭け金を失い、通常のゲームが続行されます。
インシュランスにベットした後にディーラーのブラックジャックが成立すると、通常の賭け金は失いますが、インシュランスに対し2倍の払い戻しを受けることができます。
インシュランスのメリット
インシュランスにベットすると、ディーラーにブラックジャックが成立した場合の損失を防ぐことができます。
ブラックジャックでは10、ジャック、クイーン、キングの4種類のカードがすべて10点でカウントされるため、4/13のカードが10点ということになります。
そのためディーラーのオープンカードがエースだった場合、約31%の確率でディーラーのブラックジャックが成立します。これはプレイヤーにとって非常に不利な状況です。
インシュランスにベットするとディーラーのブラックジャック成立時に元の賭け金と同額が支払われ損得なしとなり、ディーラーのブラックジャックが成立せずに勝てた場合にはインシュランスへの賭け金は失いますが、元の賭け金の1倍が支払われるためちゃんとプラスになります。
インシュランスのデメリット
インシュランスにベットした後に、ディーラーのブラックジャックが成立せず、さらにディーラーのカードの数値がプレイヤーより21に近いため通常のゲームにも負けた場合、プレイヤーは通常の賭け金とインシュランスベットの両方を失うため、損失が大きくなります。
また、ディーラーのブラックジャックが成立した場合、プレイヤーはインシュランスへの支払いを受けられますが通常の賭け金を失い、ブラックジャック不成立でプレイヤーが勝った場合は、通常の賭け金への支払いを受けられますが、インシュランスベットは失います。
つまり、2つのベットが両方成立するパターンはないため、必ずどちらかの掛け金を失うことになります。
インシュランスで得する場合
インシュランスで得するのはディーラーのブラックジャックが成立したときです。インシュランスが的中すると、インシュランスにベットした掛け金の2倍の支払いが受けられます。
これには以下の2つの場合があります。
- インシュランスが的中し、ディーラーに負けたが損失が取り戻せた場合
- プレイヤーがブラックジャックの状況でインシュランスが的中し、ディーラーと引き分けた場合
ディーラーのブラックジャックが成立した場合、通常はベットした金額を失いますが、インシュランスにベットしておけば、元の賭け金と同額の支払いを受けることができ、本来発生した損失を取り戻すことができます。
また、プレイヤーがブラックジャックが成立している状況でインシュランスにベットし、ディーラーもブラックジャックになった場合は、通常のゲームは引き分けとなるので掛け金はそのままで支払いはなしですが、インシュランスへの支払いは行われるので、元の賭け金の1.5倍の配当を受け取ることができ、収支がプラスになります。
インシュランスで損する場合
インシュランスで損するのはディーラーのブラックジャックが成立しなかったときです。インシュランスにベットした掛け金をそのまま失うことになります。
これには以下の2つの場合があります。
- インシュランスが外れ、通常のゲームでディーラーに勝った場合
- インシュランスが外れ、通常のゲームでディーラーに負けた場合
ディーラーのブラックジャックが成立しなかった場合は、インシュランスにベットした賭け金を失い通常のゲームが続きます。
通常のゲームに勝った場合には、元の賭け金の1倍(プレイヤーのブラックジャックの場合は1.5倍)を得ることができますが、インシュランスベットと差し引きするとプラスは元の賭け金の0.5倍(ブラックジャックの場合は1倍)に減ってしまいます。
さらに通常のゲームでも負けた場合は、インシュランスベットと合わせて元の賭け金の1.5倍の損失になります。
インシュランスにおける戦略
ブラックジャックをプレイしているとインシュランスの選択を確認されるシーンが高い頻度で発生します。そのためインシュランスをするかどうかにより結果に大きな影響を与えます。
ここでは「インシュランスは使った方がいいのか?」「使うとしたらどういうタイミングがいいのか?」といった面からインシュランスにおける戦略について説明します。
インシュランスの結果5パターン
インシュランスを行った場合の結果は5パターンあります。
最初に10ドル(インシュランス時に+5ドル)ベットした場合を例にパターン別の収支をまとめると以下のようになります。
内容 | 元の賭け金に対する 収支結果 |
インシュランスしなかった 場合との比較 |
---|---|---|
インシュランスが的中し、通常の勝負ではディーラーに負けた | 収支0 | +10ドル |
インシュランスが外れ、通常の勝負ではディーラーに勝った | +5ドル | -5ドル |
インシュランスが外れ、通常の勝負ではディーラーに負けた | -15ドル | -5ドル |
プレイヤーがブラックジャックでインシュランスが的中 | +10ドル | +10ドル |
プレイヤーがブラックジャックでインシュランスが外れた | +10ドル | -5ドル |
- インシュランスが的中し、通常の勝負ではディーラーに負けたパターンでは、最初に賭けた10ドルは失いますが、インシュランスに対し10ドルの支払いが受けられるため収支0となります。
- インシュランスが外れ、通常の勝負ではディーラーに勝ったパターンでは、インシュランスの5ドルを失いますがが、通常のゲームの配当として10ドル受け取れるため差し引き5ドルのプラスになります。
- インシュランスが外れ、通常の勝負ではディーラーに負けたパターンでは、最初に賭けた10ドルとインシュランスの5ドルを失い、計10ドルのマイナスになります。
- プレイヤーがブラックジャックでインシュランスにベットした場合は、その後ディーラーがブラックジャックになってもならなくても、結果的に配当はプラス10ドルになります。
このように考えられるパターンをすべて並べて比較すると、インシュランスをしなかった場合に比べて、インシュランスが的中すれば+10ドル、インシュランスが外れれば-5ドルになっていることがわかります。
つまり、インシュランスは元のゲームとは独立した賭けであり、インシュランスにベットするかどうかはインシュランス単体の期待値で考えればよいということになります。
インシュランスの期待値
1回の賭けに対してどれくらいの配当が期待できるかを数学的に求めたものを期待値といいます。期待値が低ければ長期的に負けやすく、高ければ長期的に勝ちやすいということがわかります。
オンラインカジノのゲームにおける期待値は「配当倍率 × 勝率」で求めることができます。これを元にインシュランスの期待値を計算してみましょう。
インシュランスの配当倍率は元の賭け金を含めると3倍です。また、ディーラーのオープンカードがエースで残りの1枚が10点(10、ジャック、クイーン、キング)のカードである確率は約31%です。
そのため、インシュランスの期待値を計算すると約93%となります。
インシュランスの期待値 = 配当倍率3倍 × 勝率約31% = 約93%
ブラックジャックの通常の期待値は96%~99%といわれていますから、インシュランスの期待値は通常のブラックジャックと比べて低いということになります。
インシュランスを使った方が良いタイミング
一般的にインシュランスは期待値が低いため使わない方がよいといわれています。しかし、状況によってはインシュランスが有効な場合もあります。
インシュランスの成功率は約31%ですが、これは1組のトランプ52枚の中に10点のカード(10、ジャック、クイーン、キング)が16枚あるため、10点のカードが出る確率が約31%であるためです。
しかし、すでにテーブルに配られたカードに10点のカードが多ければ確率は下がり、逆に10点のカードばかり配られていれば確率は上がります。
例えばシングルデックのブラックジャックで3ハンド同時に勝負していたとしましょう。ディーラーのオープンカードはエースで、3ハンドの各2枚、計6枚に10点のカードが1枚もないという状況ではどうでしょうか?
残りのカード(ディーラーの残り1枚を含む)は45枚で10点のカードは16枚含まれていることになります。この場合、ディーラーのもう1枚のカードが10点のカードである確率は約36%になります。
するとこのタイミングでのインシュランスは108%と非常に高い期待値になります。
もちろんこれは最も理想的なパターンですが、カウンティングにより10点のカードが出やすい状況とわかっている場合にはインシュランスが有効な手段となるのです。
インシュランスと似たアクション
ブラックジャックではインシュランスと比べると少しマイナーな似たアクションがあります。インシュランスと混同されることもあるため、ここで各アクションの紹介をしておきましょう。
サレンダー
サレンダーは降参という意味で、ゲームのスタート時点で負けを認めることで、賭け金の半分を取り戻すアクションです。
テーブルにカードが配られたときに、ディーラーのオープンカードと自分の手札2枚を見て不利な状況だと判断した場合に、他のアクションをとることなくサレンダーを宣言すると、その後のゲーム展開に関係なく賭け金の半分を支払い、残りの半分を確保することができます。
サレンダーを宣言する前にヒットやスタンドの選択をしている場合は、あとからサレンダーを宣言することはできません。また、最初に負けを認めているため、その後ディーラーがバーストしようと関係なく負けになります。
イーブンマネー
イーブンマネーはインシュランスとよく似たアクションです。ディーラーのオープンカードがエースでプレイヤーの手がブラックジャックの時に選択できます。
インシュランスの結果を見ると、プレイヤーがブラックジャックの場合はインシュランスが成功しても失敗しても元の賭け金の1倍の配当となります。
このため、ディーラーのオープンカードがエースでプレイヤーの手がブラックジャックの時にイーブンマネーを選択すると、1倍の配当金が確定しゲームが終了するのです。
結果としてはインシュランスと同じですが、選択時点で結果が確定するところが特殊なので、オンラインカジノやカジノゲームによってイーブンマネーを区別しているところがあるのです。
インシュランスは使うべきか?(まとめ)
インシュランスは通常のブラックジャックと比べて期待値が低いため、一般に使うべきではないと考えられています。
ブラックジャックの最適手をまとめたベーシックストラテジーでは、インシュランスは採用されておらず、インシュランスは使用しないことが基本戦略となります。
しかし、10点のカードが出やすい場合はインシュランスの成功率が上がるため、期待値が通常のブラックジャックより高くなったり、100%を超えたりする状況もあります。
そのため、カウンティングなどの方法で10点のカードが出やすい状況を判断できるであればインシュランスも有効な戦略となります。
インシュランスを有効に活用するのは上級者向けの戦略ですが、決して不可能ではないので、ブラックジャックに慣れてきた方はチャレンジしてみるのも良いでしょう。